細胞再生医療研究会立ち上げのお知らせ

設立趣意
医学・医療は大きな方向転換の時代を迎えています。近代医学の発展は素晴ら
しく、感染症の制御・予防により乳幼児の死亡が激減した先進国では平均寿命
が飛躍的に高くなっています。しかしながら、一方では高齢社会となった日本で
は加齢に伴って発症する多くに疾患の治療に多大の費用が必要であり医療全体
の視点から国を挙げての問題となっています。最近では、加齢により発症する生
活習慣病を予防する観点から、抗加齢医療、つまり予防医学を施すことにより、
それら疾患の発症を遅延ないしは防止することが新たな潮流となってきています。
しかし、すでに老化した組織の治療は予防では治せません。そこで注目されるの
が薬ではなく細胞を用いた再生医療です。
すでに、日本再生医療学会は2011年には第10回年次総会を東京で、ま
た、日本抗加齢学会は同年第11回年次大会総会を京都でそれぞれ開催します。
私どもは細胞を用いた新しい医療の将来に大きな希望と期待を抱いています。
そこで、積極的に細胞医療を促進発展させる目的で、今回「細胞再生医療研究会
を立ち上げることとなりました。急速に発展する再生医療分野の中でも、特に皮膚
細胞と組織をターゲットとし、病的あるいは老化症状を呈する皮膚を、機能的
に若い細胞を用い再生を図ります。活性化された細胞を皮膚に注入するだけではな
く、注入された細胞の持つ機能をin vivo で高める施術の新しい展開が強く望ま
れます。それには、細胞のエネルギー代謝に関係した物質の効果を追求すること
が重要と考えられます。それと並行しながら、皮膚以外の臓器の細胞の再生を目
的とした基礎研究および臨床応用に役立つ情報を発信することを目的とする。
そのため、具体的には、毎年学術セミナーを開催し、再生分野の最先端で活
躍している基礎的および臨床的研究者及び再生医療に興味を抱き研究を実施し
ている多くの研究者に最新情報を発表いただき、十分な討論を通して、有意義
な意見交換の場を提供します。また、再生医療に興味を抱き積極的に参加いただ
く臨床家や研究者に最先端の知識と情報を提供します。
本研究会を設立することにより皮膚関連領域だけではなく広くすべての臓器
に関連した再生医療の発展に寄与できると期待しています。
平成23年6月吉日
細胞再生医療研究会
世話人代表 市橋 正光